まぶたの手術を専門と…
埼玉県、眼瞼下垂の手術ランキングについて ~手術件数の多い当院が、なぜランキングサイトに掲載されないのか~
- 公開日:2021年12月2日
- 更新日:2025年6月20日
- 院長コラム
当院(かつむらアイプラストクリニック)は、まぶたの手術(眼瞼下垂や二重術)や涙の治療(ドライアイ・涙道閉塞)を専門としたクリニックです。
昨年のみで1800件前後のまぶたの手術と向き合っておりますが、当院は、いわゆるランキングサイトには掲載されていません。
では、手術件数の多い当院がなぜ埼玉県の「眼瞼下垂手術ランキング」などのサイトに載っていないのでしょうか?本記事ではその理由と、適切な医療機関の選び方について、まぶた専門の医師である私が、丁寧に解説します。
ランキングサイトの作成主体と広告の実態
まず、インターネット上の「○○県 眼瞼下垂手術ランキング」のようなサイトは、必ずしも公正な第三者機関が評価して作成しているわけではありません。掲載されているクリニックが業者に依頼して作成している場合もあり、目的はもちろん自院が検索で上位に表示されやすくするためのPRです。いわばランキング形式を装った広告であり、特定のクリニックを目立たせるイメージ戦略とも言えます。
このようなランキングサイトは一見すると中立的な評価に見えますが、実態は広告としての側面が強く、医療法上の広告規制にも抵触しかねません。
医療法第6条の5では、患者さんの適切な医療機関選びを妨げるような広告を禁止しており、例えば「他の病院または診療所と比較して自院が優良である旨の広告」を行ってはならないと明記されています【1】。つまり、ランキング形式で自院を「1位」などと優良性を謳うこと自体が法律で禁じられている比較優良広告にあたる可能性が高いのです【2】。
厚生労働省の通知(平成19年厚生労働省告示第108号)でも広告可能な事項が限定されており、治療成績の順位付けのような内容は含まれていません。
実際、厚生労働省の「医療広告ガイドラインに関するQ&A」でも、「口コミ情報を基に医療機関にランキングを付すサイトで特定の医療機関を強調している場合は、比較優良広告に該当し広告できない」旨が示されています【2】。さらに2024年改訂の医療広告ガイドラインでは、医療広告で禁止される表現の具体例が整理され、以下のような6つの類型が挙げられています。
- 01比較優良広告の禁止
- 他の医療機関と比較して「当院が一番」「○○県No.1」など優れていると宣伝すること【1】。
- 02虚偽・誇大な
表現の禁止 - 事実と異なる内容や「絶対安全」「必ず治る」といった根拠のない効果保証の表現。
- 03不安をあおる
表現の禁止 - 患者さんの不安を過度に刺激し、受診を急がせるような内容。
- 04体験談の濫用禁止
- 特定の患者の体験談だけを強調し、あたかも一般的な結果であるかのように示すこと。※患者体験談は広告とみなされ、原則禁止(条件付きで事実のみ掲載可)。
- 05公序良俗に反する
内容の禁止 - 公の秩序や善良の風俗に反する表現や不適切な内容。
- 06未承認医療の
広告禁止 - 国内で未承認の医療技術・医薬品等の宣伝、および承認前の治療を優良かのように謳うこと。
以上のように、患者さんに誤解を与えたり不当な誘引となる広告は法律で厳しく制限されています。当院がこうしたランキングサイトに一切関与しないのは、これら医療広告ガイドライン(2024年改訂版)を遵守し、誤解を招く宣伝を避けているためです。
米国の第三者評価サイトと信頼性の低さ
インターネット上の評価やランキングの信頼性については、日本だけでなく海外でも議論になっています。特に米国では病院や医師の評価サイト(いわゆる第三者評価サイト)が多数存在しますが、その評価スコアが医療の質をどこまで反映しているかについて疑問視する研究結果が出ています。
例えば、米国のある研究では病院のGoogleレビューやYelpレビュー(星評価)と、公的な患者満足度調査や医療の質指標との関連性を調べています。その結果、オンライン上の星評価と公式の患者満足度スコアとの相関係数は0.2前後と弱く、治療成績など客観的な医療の質との相関はさらに低いことが報告されました【4】。簡単に言えば、インターネット上で星5つと高評価の病院が必ずしも医療の質もトップクラスというわけではなく、評価スコアの信頼性は低いということです。同様に、医師評価サイトの信頼性についての2023年の系統的レビューでも、投稿口コミの偏りやフェイクレビューの存在などが指摘されており、第三者評価サイトだけで医療機関の良し悪しを判断することには限界があるとされています。
日本のランキングサイトも同様で、表示される順位や評価がそのまま手術の腕前や安全性を保証するものではありません。広告費やSEO対策により順位が操作されている可能性がある以上、「○位だから安心」「人気ランキング1位だから名医」と短絡的に考えるのは危険です。大切なのは、ランキングや口コミの数字だけに惑わされず、実績や専門性など本質的な情報に目を向けることです。
当院の実績と安全対策の取り組み
ランキングサイトに当院の名前がなくても、ご安心ください。当院は全国でも有数の症例数を誇っており、年間約1800件前後のまぶたの手術と向き合っております。そして、手術は、院長である勝村宇博がすべて執刀しております。(2025年時点集計)。これは埼玉県内でもトップクラスの手術数ですが、あえて広告的なランキングには頼らず、地道に実績と患者様からの信頼を積み重ねてまいりました。
また、症例数だけでなく安全性にも細心の注意を払っています。当院では全例で手術用顕微鏡を使用し、繊細で的確な手術操作を行うことで合併症リスクの低減に努めています
合併症のリスクと対策については、手術前の診察時に必ず詳しくご説明し、患者様に十分ご理解いただいた上で治療方針を決定しています。代表的な合併症としては出血・感染・左右差・過矯正/低矯正(上げすぎや上げ不足)・ドライアイの悪化などが報告されていますが、当院では術後早期から定期検診を行い、異常の早期発見と対応に努めています。万一合併症が生じた場合でも適切な時期に適切な処置を行います。術後の経過観察や必要な修正手術も含め、すべて院長が一貫して責任を持って対応いたします。
良いクリニックを見分けるポイント
インターネットの情報に惑わされず、本当に信頼できるクリニックを選ぶにはどうすれば良いでしょうか。クリニック選びの際に確認したい良質なクリニックを見極めるチェックポイントをまとめます。
専門医資格の有無
その分野の専門の資格を持つ医師かどうかは重要です。例えば眼瞼下垂手術であれば、眼科専門医や形成外科専門医など専門資格を有する医師だと安心感が高まります(良い眼科医を選ぶ最短のルートは専門医資格の確認と言われます)。
症例数や治療実績の開示
手術件数などのデータを公表しているクリニックは、実績に自信と透明性がある証拠です。症例数が多いほど様々なケースを経験しており、技術の蓄積が期待できます。
術後フォロー体制
手術後の経過観察や万一の際の対応について明確に説明しているかを確認しましょう。執刀した医師自らが術後の診察も担当しているクリニックは、最後まで責任を持ってくれるので安心です。
当院では、医師は院長一人だけ。すべて責任をもって診療に当たります。
医師の専門性と技術の幅
まぶたの手術にも様々な方法があります。一つの術式しかできない医師より、複数のアプローチに精通し患者さん個々の状態に合わせて最適な方法を提案できる医師のほうが信頼できます。学会所属歴や研修歴なども参考になるでしょう。
広告の内容
ホームページや案内に過剰な宣伝文句や「絶対」「永久保証」といった表現がないかチェックしましょう。適切なクリニックほど説明は丁寧でも慎重で、広告ガイドラインに違反するような誇大表現は用いていないものです。
これらのポイントを総合的に判断すれば、ランキングサイトの順位に関係なく、患者様にとって最良のクリニックが見えてくるはずです。当院も「まぶたと涙の治療」を専門とするクリニックとして、専門性・実績・安全対策の全てにおいて患者様にご満足いただける医療を提供できるよう努めております。まぶたの手術を検討されている方は、ぜひ信頼できる専門医にご相談ください。
関連記事
- 眼瞼下垂手術の具体的な流れや所要時間については【まぶたの手術:治療期間と流れ】のページで詳しく解説しています。
- また、眼瞼下垂手術にかかる費用や保険適用の条件については当院の【料金表】および【眼瞼下垂の治療】ページをご参照ください。
- その他、よくあるご質問については【眼瞼下垂の手術Q&A】の記事もぜひご一読いただき、不明点を解消してから手術をご検討ください。
参考文献
- ¹ 医療法 第6条の5(医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所の広告制限)
- ² 厚生労働省 「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告可能な事項」(平成19年厚生労働省告示第108号)
- ³ 厚生労働省医政局 「医療広告ガイドラインに関するQ&A」 (令和6年改訂版)
4 Zitek T, et al. A cross-sectional analysis of Yelp and Google reviews of hospitals in the United States. JACEP Open. 2023;4(2):e12913. (米国における病院の口コミ評価と公式指標の比較研究)
院長 勝村宇博
- 記事監修
- 院長 勝村宇博
- 当院は、私の専門分野であるまぶた(目もと)の手術や涙(ドライアイ、涙道閉塞)の治療を専門とした眼瞼下垂(がんけんかすい)や目もとの審美手術を中心に診療を行っています。 様々な学会に所属し、機能面と審美面両面とも妥協せずに治療を行っております。 また、レーザー治療など新しい治療も取り入れております。